2025年1月の印象
大阪市天王寺区玉造本町の健青会内科外科クリニックです。2024年12月に開院して2ヶ月が経ちました。
新規、再診患者さんも少しずつ増えてきています。
まだ空きもあるので、体調不良や体のことでおかしいなと思ったら「玄関科」の健青会内科外科クリニックに来てください。
寒い日が続きますね。この季節は布団からなかなか出られません。布団の重力が増している気がします。一般相対性理論によると重力が強い場所は時間の流れが遅くなるので、朝方に布団でグズグズしていると布団の外では自分が思ってるよりも時間が経ってて焦る、みたいなことになります。やはりアインシュタインは天才ですね。
さて、12月はインフルエンザの流行が激しかったので1月はどうなることかと思いましたが、意外にもあまり流行せず、12月がピークだったのかなぁという印象です。特効薬も供給が追いつかなくなりつつあったのでホッとしています。
特効薬といえば
特効薬といえば、コレをご覧の皆さんは抗生剤についてきちんと理解されてますでしょうか。「なんとなく病気に効くヤツ!」と認識されておられるのではないでしょうか。全然それでも構わないのですが、医師から見た“抗生剤”の認識を、少し長くなりますがお話ししましょう。
抗生剤というのは
まず、“抗生剤”というのはイコール“抗生物質”のことなのですが、抗生/物質だと思われてる方が大多数な気がします。それは区切る場所が違います。正しい意味としては 抗“生物”質です。生物に抗う物のことですね。
何の話だと思われているかもしれませんので、違う角度からもお話しします。
ウイルスと細菌の違いはわかりますでしょうか。一般的には「すげーちっちゃい生き物、バイキン」くらいの認識だと思いますが、実は大きな差があります。
まず大きさ。細菌はウイルスの100倍くらいの大きさがあります。ウイルスが米粒くらいだとすると、細菌は傘くらいの大きさというくらいのバランスになります。全然違いますよね。
というのも、細菌は細胞でできた生き物で、ウイルスはそういう細胞に寄生したり中に入ったりするものなので、そのくらいのスケール感をイメージしていただけるとありがたいです。そして、コレがわかると細菌感染のほうが圧倒的にしんどい、というのにも頷けるかと思います。
次に、生態。いろいろな説明の仕方はあると思いますが、とてもわかりやすく違いを述べるとするなら、細菌は生物ですが、ウイルスは生物ではありません。生物である細菌はエサを食べて代謝を行いエネルギーを得て、主に分裂により増えていきます。これは生物っぽいですよね。ところがウイルスは何も食べず、代謝をしません。細胞に侵入し、細胞の中にあるものを使って自分のDNAのコピーを作るだけです。さらに言うと、ウイルスは結晶になることもあるらしく、これも生物っぽくないです。何が楽しくて生きてるんでしょうか、、、いや、生きてない、“物”なのか。
ともかくそういう違いがあります。ここまででお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、「抗/生物/質」は生物に抗う物なので、生物でないウイルスには効きません。細かいことは省きますが、抗生物質は代謝を邪魔したり細胞の壁を壊すことで細菌を殺すので、細菌感染に対しては“こうかはばつぐんだ!”なのですが、ウイルスは代謝もしないし細胞壁もないのでなんにも効果がありません。じめんタイプに10まんボルトが効かないのと同じです。
そして、いわゆる“風邪”はウイルス感染の総称なので、抗生物質は効きません。そんな数多くの種類があるウイルス感染の中でも特に厄介なものには「インフルエンザ」「帯状疱疹」などと名前がついており、たまたまそれに特効薬が存在するだけなのです。その他の無名な有象無象のウイルスたちには特効薬がありません。
なので我々医師は血液検査などでウイルス感染か細菌感染かを見極め、細菌感染にだけ抗生剤を処方するんですね。
「そんなん別にどっちでも抗生剤出せば良くね?ウイルスに効かないだけで細菌に効けばラッキーくらいの感じで」と思われた方は鋭いです。実際そういう考えの医師もいますし、緊急度合いによってはそういう選択をすることもあります。
抗生剤投与の最大のデメリットは、耐性菌の出現です。日頃の単なるウイルス感染にムダ撃ちの抗生物質を使っていたり、中途半端な量や期間だけ投与すると、いざ本当に細菌感染した時に多くの抗生物質が効かない無敵に近い細菌が出現してたりすることがあります。ヌケニンみたいな。私たちと同じように、細菌だって免疫がつくのです。
もちろんそういう強い菌に効く強い抗生物質もあるにはありますが、血中濃度管理の扱いが難しいため入院必須で毎日採血だったり、それ相応にお値段が高かったりします。しかも最初は耐性菌かどうかなんてわからないので一般の抗生物質が効かなくてしんどい時間が無駄に長引くことになります。
場合によってはそれで脳に障害が残ったりとかそういう恐ろしいことになるリスクを引き上げることになります。怖い〜!
ちゃんとした理由があるんですよ
長くなりましたが、そういうわけで私はなんでもかんでも抗生剤を処方したりしません。未来のリスクを見据えた上で適切に使うことを心がけています。
なので、皆さんも抗生剤を盲信するのはやめましょう、というお話でした。出さないのには出さないなりの理由があるのです。
追伸〜ひとりごと〜
赤、銀、ルビー、ムーン、スカーレットは既プレイです。どうぐ7番目でセレクトボタン押してレベル100にしたり、タマムシデパートでミュウを釣り上げてた世代です。個体値、努力値などは詳しくありません、エンジョイ勢です。